2020年1月4日土曜日

2020年は中身を磨く年にしたい


長期休暇は、考えごとに時間を費やすのにうってつけだ。この冬休みも、日記帳を前に長々と考えにふけった。今年の目標を見定めようとしてのことだった。「目標なんて何も思い浮かばない」というのが最初の感想だった。仕事上の地位とか、関係の変化とか、外から分かるような、ラベルがつけられるような目標は特にない。無理に作るのもおかしい。これからの一年は今やっていることをコツコツと続けていくこと以外にはないと思う。

しかし、だからといって何も望んでいないわけではない。ただ、その望んでいることを言葉に落とせていないのだ。それは、求めているものがラベルづけできるようなものではなく、中身の問題だからだ。中身を磨きたいというのが現在の私の一番の欲求だ。ただ中身を磨くことを、その中身が何かを考えずに漠然と求めても、どのように努力すればよいかは見えてこない。中身を磨くこと一つにも、具体的な目標は必要だ。

第一に、その中身が何なのかを特定しなくてはいけない。ここで多くの願望が我先にと突き上げてくるが、それらのうちの何がより優先されるべきことなのか、何が達成可能なのかを、偏見のないクリアな目で選りすぐらなくてはならない。仕事が始まって忙しくなればおのずと限定されてこようが、判断もできなくなるほど忙しくなる前に見通しを立てたい。せめて方向性くらいは定めたい。

第二に、中身を測るための指標が必要だ。中身を<知識>と考えれば、形式的な目標を定めることは無理な話ではない。以前、ある教育者が「その分野の専門書を100冊読んで(原稿用紙)100枚の論文を書くこと」と言っていたのを思い出す。そのようにインプットとアウトプットを数値化することは可能だし、そこから始めることが最短経路に思える。

中身の一つはすでに決まっている。癌の免疫療法の一種、CAR-T細胞療法だ。これは、翻訳勉強会の題材として取り上げたもので、勉強会のために勉強しなくてはいけないのだから、その延長線上でテーマ自体を深く調べることは自然なことだ。また、このテーマは、技術的な知識を必要とする私の職業上のニーズとも合致する。しかし、私の職業上のニーズという意味では、技術的な知識とともに法律的な知識も必要だ。そこでの勉強課題は明確だが、しかし、技術的な勉強と法律的な勉強をともに「その分野の専門書を100冊読んで(原稿用紙)100枚の論文を書くこと」というレベルで行うことは可能なのだろうか。あるいは、これらの二つのテーマを結びつけることはできないのだろうか。例えばがん治療における特許性というように。しかし、たとえそうするにしても、それぞれのテーマをその範囲内でそのテーマが要求する程度まで勉強することは必要だ。つまり、同時並行で、または時期を区切って、二つのテーマをそれぞれ勉強しなくてはいけない。

結局私に必要なのは、中身を磨くことよりも、あるいはそれ以前に、中身を作ることなのだろう。知識をつけることは、今までになかったものを自分のなかに取り込むことなのだから。それは、空っぽな自分の空っぽさを埋めることだ。時間のかかることだけれど、観念して時間をかけることが今の私に必要とされているのだと思う。この冬休みは、そのこと(時間をかけて知識をつけなくてはいけないということ)を認めるために必要な時間だったのかもしれない。元来、ほしいものはすぐ手に入らないと耐えられず、次から次へと興味が移る性質だから。一つのことをマスターする前に、あれもこれもとほかのことができるようになりたくなり、結果的に、何も身につかないというのが私の繰り返すパターンだ。一つのことに自分を制限することが難しい。だから、目標を立てるのにもてこずったのかもしれない。

さて、中身を磨くことについて、知識をつける以外の欲求もある。それは、<感性>を磨くことだと、とりあえずは言う。昨年末、クリスマスパーティで友人と話し、また、NY Timesの書評家パール・セガールの文章を読みながら、その思いを強くした。パールは書評家として表現、特に形容詞、が枯渇すると、音楽や食べ物を批評を読み、「美味しい」表現を蓄積すると言っていた。上記した知識をつけるための勉強や読書以外にさらに何ができるのだろうかとも思うけれど、せめて日々の中で自分が美しいと思う文章を読み、それをまねることはしたい。<感性>を磨くことは自分の身体を作り替えることだ。少なくとも私はそう思う。そのためには日々、自分の身体に言葉を刻印していかなくてはいけないのだと思う。

「目標なんて何も思い浮かばない」と思っていた割には、充実した構想を練ることができた。書くことを通じて、目標がより明確になった。ここで文章を閉じることにする。 (更新:2020年1月6日



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