2020年5月5日火曜日

神楽坂の思い出


毎日歩く道をなぞったら、固有の形が浮かび上がる。境界線に定められた閉じた図形が。それは私が地上に刻んだ刻印だ。上空から観察している高次生命体がいたら、その図柄の隠された意味を読み取るかもしれない。ナスカの地上絵やイギリスのストーンヘンジに匹敵するものとして。あるいは開拓時代のアメリカ政府が、その土地を私にくれるかもしれない。私の歩いた跡を境界線とする土地を。

神楽坂に住んでいた頃は毎日同じ道をたどり続けた。線の上に線を何重にも重ねることによって自らの足跡を深く刻みつけるかのように。

2020年5月3日日曜日

2020年春 私のゴールデンウィークの過ごし方


目が覚めると、もう明るい。寝坊をしたのかと焦るが、時計を見るとまだ6時だ。最近は日の出が早いため、起きるとすでに日が高くて損をした気分になる。でも6時ならまだ余裕だ。散歩してゆっくり朝食をとって8時には仕事を始められる。すっかり在宅勤務ペースが身についてきた。と思っていると、ふと何かが記憶のかたすみで動く。あら?今日仕事あったっけ?

「今日はゴールデンウィークです。仕事はありません」と声がつぶやく。

とはいえ、いつもと何が違うのかというと、とくに何も思い浮かばない。普段と変わらないごく普通の朝だ。大型連休に付随してしかるべき祭りのような楽しさはどこを探してもない。そもそも大型連休の気配すら感じられない。

身を切るエッセイ漫画 永田カビ『さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ』

作品の帯にはこう書かれている。 「高校卒業から10年間、息苦しさを感じて生きてきた日々。 そんな自分を解き放つために選んだ手段が、 「レズビアン風俗」で抱きしめられることだった―― 自身を極限まで見つめ突破口を開いた、赤裸々すぎる実録マンガ。」 大学があわなくて中退して以来、アル...