2020年10月24日土曜日

独立した人間となるためにー読書猿ブログを読んで考えたこと

人は自分を肯定するために、自分が他人より優れていると考えることを必要とするようだ。優越感と劣等感は背中合わせで存在する。優越感を得るひとつの方法は、世間的に認められているいい学校に入り、世間的に認められているいい会社に就職することだろう。その会社の一員であるというだけで誇りが生じるし、他人からの尊敬も得られる。さらにいい会社であればあるほど、設備も整っており給料もいいので、日々優越感が煽られる。 

 女性であればいい結婚をすることによって同様の優越感を持つことができる。結婚は本来ステータスのためにするものではないが、結婚できたかできないか、結婚相手のステータスがどの程度かによる心理的作用は否定できないし、それが他人からの評価に影響を与えることも動かしようはない。 

 社会的ステータスがすべてでないと分かっていても、社会的ステータスのもつ影響力から自由になるのはなかなか難しい。 

 しかし、いい会社もいい結婚も、世間のすべての人に行きわたるほど無尽蔵に転がっているわけではない。それを運よくゲットできる人もいれば、あぶれる人もいる。世の中は不公平だ。そして、仮に運悪くあぶれた方に入ってしまった場合、優越感とは逆の感情に支配されることになる。自分とたいして変わらない実力の人が自分よりいい待遇を得て、人から尊敬され、楽しそうに生きていればなおさらだ。「何者かになりたい」という願望は、そのような鬱屈した思いから生じることが多い。人に無条件に好評価されるステータスを持たないからこそ、自分の力で人をあっと言わせたい、自分のことを認めさせたい、というどろどろした思いが胸の中でくすぶり続ける。 

 このような鬱屈した思いに対する解決策は簡単だ。鬱屈した思いは一旦自分が成功すれば容易に消える。同時に劣等感も社会に対する批判的な思いも薄くなる。しかし、先に書いたように、成功は望んだ人皆に回るほど無尽蔵に出回っているわけではない。望んでも手に入らないことだってある。その方が大半かもしれない。では、成功できなければ、いい会社に入れなければ、いい結婚相手を見つけられなければ、鬱屈とした思いに支配され続け、くすぶり続けなければならないのか。 

 答えは一筋縄ではない。 

 まず、いい仕事なりいい結婚なり、社会的に豊かに生きるために必要なものを手に入れる努力は続けるべきだろう。なぜなら、そのようないい「ステータス」が運よく手に入る可能性は否定できないから。それを手に入れるために多少恥ずかしい思いや情けない思いをしたとして、最終的に欲しいものが手に入ればすべてオーライになるはずだ。そこで無駄にプライドを持っても意味がない。 

 一方で、成功が手に入るにしても入らないにしても、コンプレックスを乗り越えなくてはいけない。それは自分の置かれた状況を受けいれることでもある。場合によってはそれは自分が「天才」ではないことを受けいれることかもしれない。自分が嫌だと思っていた周囲の人々と仲良くやっていくことかもしれない。しかし、今いる環境の中で人を動かすように力を発揮することができなかったら、どこにいっても人を動かすことはできないと考えた方がいい。 

 私がそのことに気づかされたのは、奇妙にも、読書猿ブログの「今度こそ、続けよう→3日坊主にさよならする技術」を読んだときだった。 

 勉強のノウハウと人生の成功と何の関係があるのか、と人は思うかもしれない。 

しかしこの記事はそれまでやみくもに「勉強しなきゃ」と思っていた私に時間は有限であること、そして、その有限の時間の中で何者にでもなれるわけではない、ということを冷静に認識させてくれた。さらに、この記事は「人生でやりたいこと」を真面目に考える機会を与えてくれた。ここでポイントなのは、ブログが「人生で何になりたいか」ではなく「人生でやりたいこと」を問うていることだ。「人生でやりたいこと」とは具体的な行動(アクション)だ。つまり、このブログでは、<行動>という自分にコントロール可能なことのみを考えるよう求め、何になりたいかとか、とか人からどう思われたいか、というコントロールできないことについて考えることを求めない。さらに言えば「人生でやりたいこと」というのは、言い方を変えれば「死ぬまでにやりたいこと」だ。自分の人生を死までの時間性のなかで考えると、やりたいことはシンプルになる。 

 自分という人間は、ある特定の唯一無二の条件の下でこの世に産み落とされ、ほかの誰にも生きられないこの<自分>という生を与えられた。この与えられた条件の下でどこまで前に進めることができるか。それが私に与えられた<使命>なのだろう。ほかの全ての個人にとってもそうであるように。 

 ところで、読書猿ブログのブログ主読書猿さんは、以下のような相談にも応じている。
この回答もまた、勉強すること(読書すること)は、今目の前にあるものを見下すこととは違うのだということをさりげなく指摘している。



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